高分子材料の高性能化・高機能化を可能にする技術
最近、高級ロッドやハイエンドロッドなど高級ロッドでナノアロイ・テクノロジーという単語をよく目にするようになりました。
下の図のロゴマークを見れば、「あー見たことある」ってなりませんか?
ぱっと見ではわからなかったのですが、「nanoalloy」って書かれてたんですね。。わからなかった・・・
ナノってついてるので、何か最先端な技術を導入してるんだろうな~くらいにしか思っていませんでしたが、気になったので調べてみました。
ナノアロイ®テクノロジーについて
ナノアロイ・テクノロジーとは、炭素繊維(カーボンファーバー)で世界シェアNo1の東レが開発した技術名称のようです。
ナノアロイ
単位であるナノと、合金の英単語であるアロイ、を組み合わせた造語なのだそうです。
- ナノ(n) ・・・ nano 10-9 1/1,000,000,000 0.000000001
- アロイ ・・・ alloy 合金
ナノっていう単位は、小さい単位を表していることは分かるのですが、実際にはどれくらいの大きさを表しているのかというと、例えると、DNAの分子構造の大きさを表記するレベルのようです。
ちなみに、nano(ナノ)の次に大きな単位としては、マイクロ(μ)です。
- マイクロ(μ) ・・・ micro 10-6 1/1,000,000 0.000001
ナノがDNA分子レベルであるのに対して、マイクロは細菌の大きさを表すレベルになります。
ナノアロイテクノロジーが何なのかをぶっちゃけ簡単に言ってしまうと、樹脂などの素材をナノ単位にまで細かくして、複数の素材で混ぜ合わせた複合材料を作る技術ってことですかね。
素材を分子構造レベルであるナノにまで細分化するのが、かなり難しい技術なんでしょうね。(たぶん)
ナノアロイ・テクノロジーが応用される製品とは
東レのナノアロイ・テクノロイジーが素材形成に関する技術の名称であることがわかりました。
次に、実際にどのような製品に応用されているかを調べると、ロッドのみならず多岐にわたるそうです。
ナノアロイは、耐衝撃性・高流動性・成形性・振動吸収性・耐熱性などで素晴らしい特性があるようで、用途は様々です。
耐衝撃性
ゴルフクラブ(シャフト)、テニス・バドミントンラケット(フレーム)、ラケット用ストリング、自転車、釣竿、バット、スポーツ用プロテクター、自動車外装(衝撃吸収材料)、安全ヘルメット、マットレス、床材
高流動性
通信機器コネクタなどの小型精密部品
成形性
スマートデバイス・家電製品・自動車内外装などの加飾用フィルム
振動吸収性
輸送機器、住宅、工場機械、工作機械
耐熱性
データバックアップテープ用ベースフィルム、電気絶縁材料
ロッドに関しては、耐衝撃性の観点からナノアロイが使われているようです。
ロッドのどの部分でナノアロイが使われている?
では次に、ナノアロイ・テクノロジーがロッドでどのように使われいているのかを見ていきます。
ナノアロイ技術は、ロッドを作る原材料であるプレプリグ(カーボンファイバーと樹脂でできたシート)に使われています。
もう一歩踏み込んで言うと、
プレプリグに含まれる樹脂にナノアロイ・テクノロジーが使われています。カーボンファイバーではありません。
後で詳しく書きますが、プレプリグはロッドのカーボン含有率を左右します。プレプリグは、ロッドメーカーが作っているのではなく、カーボン素材メーカーである東レが製造しロッドメーカーに供給しています。
ということは、「ナノアロイ・テクノロジー採用」と書かれているロッドは、
「ナノアロイ・テクノロジーが採用されたプレプリグで作ったロッド」
ということです。
ロッドのカーボン含有率について
ロッドの仕様を見ると、カーボン含有率が書かれています。
今、自分が使ってるDAIWAのエギングロッドであるエメラルダス・アウトガイドモデル83Mのカーボン含有率は87%でした。
87%が高いのか低いのか、今まではよく分かっていなかったのですが、
ナノアロイ・テクノロジーについて調べた結果、全然高くないことがわかりました。(汗)
ナノアロイ・テクノロジー採用ロッドのカーボン含有率がどれくらいかというと、
じつに99%を越えています!
99%っていうことは、ほぼカーボンファイバーのみでできていると言っても過言ではないレベル!
具体的な例として、ヤマガブランクス(YAMAGA BLANKS)のエギングロッドであるカリスタシリーズ「Culista TZ NANO」ですが、そのカーボン含有率は、なんと
驚愕の99.8%にまで達しています!!
ロッド性能を左右するカーボンファイバー含有率
カーボンファイバー(炭素繊維)は、その名の通り炭素でできた繊維のことです。
特徴としては、軽くて強いということです。
鉄と比較すると比重で1/4、比強度で10倍、比弾性率が7倍です。
さらに、耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、に優れているという特徴も持ち合わせています。
ロッドに求められることは、軽さと靭やかさなので、カーボンファイバーはロッドの素材として最適であることがわかります。
なので、カーボン含有率を高めると、軽さと強さをより高められるわけです。
では、カリスタのカーボンファイバー99.8%以外である、残りの0.2%はいったい何なのでしょうか?
ロッド原材料のカーボンファイバー以外は何なのか?
カリスタのカーボンファイバー99.8%の残り0.2%は何なのかというと、カーボンファイバーを接着している樹脂(レジン・エポキシ)になります。
先ほども書きましたが、この0.2%でしかない樹脂にナノアロイ・テクノロジーが使われているのです。
ナノアロイが登場する前の樹脂素材の粒子の大きさは、マイクロレベルオーダー(10-6)でした。
ところが、ナノアロイ・テクノロジーが開発されたことで、樹脂直径の大きさがナノレベルオーダーになったのです!
これが、どれくらいのインパクトなのかというと下の図をみると一目瞭然です。
赤い球体が樹脂(レジン・エポキシ)の粒子を表しています。
注目すべきは、カーボンファイバーの密度
従来の樹脂は、粒子の直径が大きいために、カーボンファイバー間に大きな隙間があります。
樹脂粒子の直径がナノレベルになったことで、カーボンファイバー間のすき間が縮まり、カーボンファイバーの密度が格段にアップしていることがわかるかと思います。
つまり、軽さと強さを持つカーボンファイバーをより多く詰め込むことができているのです。
ロッドに必要なのは、カーボンファイバーの軽さと強さです。
カーボンファイバーの密度を高めれば高めるほど、ロッドの軽さと強さをより向上させることができるのです。
樹脂はカーボンファイバーを束ねる役目でしかないので、単位体積あたりに占める割合はより低く抑えることが理想的です。
東レはナノアロイ・テクノロジーを開発したことで、カーボンファイバー含有率を99%以上にまで高ることに成功したのです。
ロッドメーカー各社は、東レが供給するプレプリグでロッドを作ることにより、カーボン含有率99%以上という驚愕のロッドを商品化できたのです。
全体ではたったの0.2%でしかないナノテクノロジー樹脂。
しかし、これがロッドに革新的な変化を生み出していたんですねー。
ナノアロイでできたロッドの特徴
ナノアロイテクノロジーが開発されたことで、ロッド性能には新たな可能性が出てきました。
向上する性能を列挙するとこうなります。
- 軽量
- 高感度
- 高反発
- ハイパワー
- 高い復元力
- 破断しにくい
ロッド性能について簡単に説明すると、こういうことでしょうか。
- 従来のロッドに比べて、軽くて細いのに、魚を海面にまで持ち上げるパワーが向上している
- 従来のロッドに比べて、軽いのに、高反発で復元力が高く、靭やか(しなやか)
- 軽いからこそ、小さなアタリもとれる高感度
- 細くて軽いのに破断しにくい
軽いのでキャストやロッド操作による腕への負荷が軽減し、
キャストする時はしっかり曲がってくれるのでルアーの飛距離が伸び、
キャストし終えると素早く元の形状に復元し、微小なアタリも手もとに伝えてくれる。
それでもって、急激な衝撃はしなやかさでしっかり吸収してくれる優れもの!
このような高機能・高性能なロッドが商品化されているのです。
素晴らしいの一言です!東レの技術革新のおかがげですね♪
最終的にロッド性能を左右するのはロッドメーカーのノウハウ
プレプリグはどこのロッドメーカーも東レなどカーボンファイバー製造メーカーから供給されたものを使っています。
なので、最終的にロッド性能を決めるのは、ロッドメーカーが持っているプレプリグ加工ノウハウ次第ということになりますね。
どこのロッドメーカーから買うか、これはアングラーの好み次第ということになります♪
ちなみに、東レの公式ページで公開されているロッドメーカーは以下の通り。
APIA(アピア)
- Foojin’AD(風神AD)
- Foojin’BB(風神BB)
宇崎日新の高級磯竿
- ZEROSUM 磯 弾 V3
オリムピックのエギングロッド
- カラマレッティー プロトタイプ Due
高級釣具メーカー(株)がまかつの磯竿
- がま磯 インテッサG-Ⅴ
- LUXXE OLTRE
ライトゲームブランドClearBlue(クリアブルー)
- Crystar-57
ダイワ(グローブライド社)製最高級鮎竿
- 銀影競技メガトルク大鮎
メジャークラフト
- NANOACE
ヤマガブランクス
- Blue Current TZ NANO
リップルフィッシャー
- Ripple Fisher “NANO” Series
ナノアロイ適用ロッドは高額な傾向
ナノアロイのロッドは素晴らしいのですが、デメリットとしては価格ですね。
ナノアロイテクノロジーを商品として実用化されてまだ間もないので、研究コストや開発コストが商品価格に反映されていて、商品価格が高額な傾向にあります。
また、最新技術が投入されるのは当然、フラッグシップモデル、ハイエンドモデル、高級モデル、からです。
大量生産され消費が向上すれば、次第にミッドレンジクラスにもナノアロイが適用され始めると思いますが、それはまだまだ先の話でしょう。
今の段階では、釣りの可能性や快適さを高めてくれたナノアロイテクノロジー関連メーカーに、研究開発の対価をお支払いしてその素晴らしさを体感・実感する、といった感じでしょうかね。
ナノアロイ・テクノロジーの素晴らしさを知ってしまったので、やはり使ってみたいと思ってしまいました。
新ロッド、買うかもです。ナノアロイで!
どもども久しぶりです!
ナノアロイは前々から知っていましたが、記事見てたらほしぃー(笑)
今の私では手が届きませんので、今のタックルで腕磨きます(涙)
コメントありがとうございます♪
ナノアロイすごいですよね~、使ってみたいです。
私ごときに高級ロッドはもったいない気もするのですが、エギングなどルアーを使う人にとっては気になる商品です。
買うか迷ってますが、もし買ったらこのサイトでインプレしようと思います(笑)