タイラバの浮動式といえばセブンスライドですよね。
そのセブンスライドを開発した宮崎氏の開発秘話が書かれたサイトを見つけました。
最初は、お客さんが釣っている合間にタイラバをされていて、あまり多いバラシの原因を突き詰めていった結果、浮動式タラバが誕生したそうです。
うまくいかない原因を考え、それを解決するために工夫や改善をし、テストをしていたそうです。
宮崎船長、凄すぎます。
SEVENスライドの開発秘話サイト
引用URL : https://prostuff.gear-lab.com/sevenslide.html
ルアー船セブン宮崎船長に聞くタイラバ爆釣法
解説:宮崎晃(遊漁船セブン船長・セブンスライド開発者)文:沢木好男
九州屈指のルアー遊漁船「セブン」の船長にして、大人気の爆釣タイラバ”セブンスライド“の開発者でもある宮崎晃氏に、爆釣のためのポイントを聞いてみた。その内容は目からウロコの連続、特に取れるはずのアタリを取れないことで、失ってきたチャンスの多さに気づかされた。タイラバファン必読のノウハウをご紹介しよう。
世に爆釣と形容されるルアーはたくさんあるが、本物はさほど多くない。中には「マーケティング的には成功例だけど…」と言いたくなるものも存在する。そんな中、セブンスライドは他のルアーと比較して、確かに圧勝といえる実力を発揮して、現在、北部九州では「これがなければ釣れない」というほどの人気だ。その特徴は固定されていないタイラバヘッドと、鉛ヘッドが自由にリーダー側に移動出来るスライド構造にあるのだが、これだけで何故あれほどの釣果を引き出せるのだろうか。宮崎船長にインタビューしてみた。
遊動式ヘッドの誕生
インタビューさせていただいた宮崎晃さん宮崎:
私の船はタイラバ専門船ではなく、青物のジギングやキャスティング、シーバスなど、楽しいと思える魚種なら何でも相手にするルアー船なんです。そもそもの発端は、ゲストの方がジギングをされている最中に、私の晩のおかず釣りと暇つぶしを兼ねて、タイラバをやっていたのがきっかけです。以来、私自身もタイラバが面白くなり、深くはまっていったのですが、当然のように、より釣れるタイラバを探してさまざまなものを試すようになりました。そこで気になったのが、この釣りのあまりのバラシの多さでした。
これはきっとフックが太すぎることに原因があるのではないかと考え、まずはフックを既存のタイ針からチヌ針に変えてみたところ、タイ針に比べてずっとフックアップ率が上がり、私の印象だと10%以上は向上できたのではないかと思えました。そこで欲を出してもっと細軸のチヌ針に変えてみたところ、更に20%はバラシが減って掛りが良くなったように感じられたのです。
セブンスライドはフックをチヌ針に交換することからから始まった。しかしこれには問題があって、大型のタイが激しく首を振ると簡単にフックが折れてしまうのです。そこでロッドを柔らかいものにするなどの工夫を試みてはみたものの、ハリ折れは改善できず、これはどこか別のところに原因があるのではないかと思うようになったのです。そこで気付いたのがタイラバのオモリ部分、ヘッドでした。
タイラバのヘッドは通常固定されており、ラバーの部分は柔らかく、かかったタイが激しく首を振ると、重いヘッドの遠心力により発生するテコの原理でフックに大きな力が加わるのではないか、それがハリ折れの原因なのではないのか、そう考えたのです。であれば、当然ヘッドが重たいほどその傾向は強くなるため、最も軽くすれば、つまりヘッドの重量をゼロにすれば、ハリ折れは無くなるのではないか、そう考えるに至りました。タイラバヘッドの重量をゼロにする方法、それは遊動式にするしかなかったのです。
結果、釣果は以前の40%増し以上となり、飛躍的な向上を達成しました。
セブンスライドはタイラバのフックアップ率の低さを改善する事から始まった。釣針を細軸にする事によるフックアップ率の向上というメリットに対し、リスクとして発生する針折れをなくすために考えられたのがヘッドの遊動式だったのだ。 考えてみればチヌやクロ(メジナ)を狙ったフカセ釣りで大型の真鯛が掛かることはよくある。しかしチヌ針やグレ針などの細軸針を使っていながらも、針が折れたという話はあまり聞かない。つまり針折れはタイラバ特有の現象であり、それは重たいヘッドが固定されていることに起因していたのだ。
ネクタイとラバーの数には最適値がある
宮崎:
当初、ヘッドは「タイ玉錘」という製品をハンマーでたたいて平たくして使っていました。このオモリは中通しが軸の中心からずれていたので海中でも回転しにくく、セブンスライドにはこれしかないと思ったからです。細軸のフックを使うことにより、ネクタイへの針絡みが増えたため、思い切ってネクタイを1本にしてみました。すると、マダイの食いが飛躍的に向上したのです。そこでラバーの数も減らしてみることにしました。その結果、ラバーやネクタイの数は可能な限り少ない方が良いという結論に達し、フックとそれを結ぶダイニーマーラインとのバランスを考え、現在の12本~16本というところに落ち着きました。
さらに、当初はダイニーマに結び目を作って、ヘッドがそれ以上落ちないようにしていただけだったので、結び目がヘッドの穴に入り込み、引っかかってスムーズにリーダー側へ抜けないというトラブルが起きました。そこで何らかのアダプターのようなものの必要性を感じ、ボールペンの芯を2mmほどに切って、それにゴム管でネクタイとラバーを取り付けて使用していたのですが、セブンスライドを販売するようになって現在のようなパーツを専用で製作する必要が生まれました。
当初は一つずつ旋盤で製作していたのですが、それでは全く間に合わなくなり、金型を作って量産できるようにしたのが現在発売されているセブンスライドのパーツです。
やはり現在の形にするまでには、相当な創意工夫とご苦労があったようだ。ところでヘッドを遊動式にする事により改善したのはフックアップ率だけなのだろうか。ブンスライドは、単にフックアップ率が良いだけでなく、魚の食いも非常に良いように感じる。そのあたりの秘密を、より効果的なセブンスライドの使い方も含めて聴いてみた。
30%はフォール中に食うと考える
宮崎:
底から10mまでがヒットゾーンというのはこれまでずいぶん語られている事ですので、タイラバをされる方は皆さんご存じだと思います。ただし、マダイはフォール中には食わないと言われてきましたが、沈下中でも絶対食っているはずだと私は思いました。実はタイラバのフォール中にマダイが食わないと感じるのは、フォール中のアタリが取れていないか、あるいはフォール中のマダイがタイラバを咥えた瞬間、ヘッドの重さを感じて離しているのだろうと考えています。セブンスライドはフォール中、ラバー部分が水圧を受け、ヘッドと分離して沈下します。ヘッドとラバーがちょうどVの字になるような形です。この状態だとタイがラバーを咥えても違和感が無く、どこまでも咥えたまま走っていきます。アングラーは着底後リーリングを開始して少し巻き上げた時に、初めて魚の感触を感じ取り、ヒットと認識するわけです。
セブンスライドはよくド底で食うとか前アタリが無くいきなり食ってくる等と言われますが、それはフォール中にすでに食っているためです。またフォールに興味があるタイは、ヘッド部分には興味が無く、ラバーだけを食ってきます。したがってフォール中は可能な限り神経を集中して、少しでもおかしな落ち方をすれば、スプールを抑えて即あわせをするとさらに釣果が伸びます。私はセブンスライドが他のタイラバと比べ、魚が咥える率はほとんど変わらないと思っています。ただフォール中にヒットが取れる、魚が違和感を覚えない、フックアップ率が上がる。この事が爆釣ルアーと呼ばれる要因となっているのでしょう。タイがタイラバに食いつく回数全体を100とした場合、私の印象では70が巻き上げ中に、30がフォール中に食っていると思われます。フォール中の30のアタリが取れる、また魚が離さないということ、さらに細軸フックによるフックアップ率の高さを加えると、キャッチ率が大幅に向上することは不思議ではありません。
タイラバのフォール中にタイは食わないといったこれまでの概念を覆す、画期的な意見。フォール中のアタリが取れない、あるいは魚がすぐに離してしまう等の要因があったために、フォール中には食わないと認識されていたのだ。フォール中のアタリを取る、もしくはフォール中に食ってくるタイに違和感を与えない事、これもセブンスライドによるヒット率増大の要因の一つになっている。ところでセブンスライドに限らず、タイラバフィッシング全体に於ける爆釣テクニックとはどういうものがあるのだろうか。
底をとったら即巻き上げ。中層まで試すこと
宮崎:
底取りが大切です。底が取れないとタイはまず食ってきません。それ以上に大切なことは、着底後、即巻き上げを開始するという事です。タイはフォールでも食ってくることは先ほども申し上げましたが、フォール中、食うまでに至らなくても、必ず追ってきています。タイラバが着底し、海底に沈んだままの状態で放置している間にタイは逃げてしまいます。着底後どれだけ早く巻き上げればよいか、これは早ければ早いほど良いでしょう。コンマ何秒の世界です。更に底から10mまでがヒットゾーンで、それを過ぎると食わなくなるというのも、実は正しくないと思っています。マダイが小魚を追っかけている時などは、表層近くでも食ってくることがあります。したがってその日最初のヒットがあるまでは、水深の真ん中くらいまでは巻きあげるようにした方が良いでしょう。その日のヒットがどの遊泳層なのかを見極めてから、底から10mで折り返すか、中層まで巻きあげるかを決める方が良いと思います。明らかに中層で食ってきているにもかかわらず、底から10mまでしか巻きあげず、ボーズに終わった人もいます。
さらにセブンスライドに限った事ですが、フォール中にも食ってくることが多いため、ロッドとラインの角度が一直線になった方がアタリは取り易くなります。
タイは食うと反転して逃げ去りますが、ロッドとラインが90度で降下するバーチカルの場合、魚が反転して逃げても、しばらくはアングラーが感知できない事が多く、ロッドとラインが一直線になっていれば、より手元に魚の感触が伝わり易くなります。そのため、私の船にお乗りいただくゲストには、少しキャストすることをアドバイスすることもあります。
キャストするメリットは、フォール中のアタリを取りやすくするだけでなく、青物に比べてより狭いマダイのヒットゾーンを、より長く引く事が出来るというメリットもあります。広範囲に探ることは、むしろフィーディングレーンの狭いマダイにこそ必要だと思うからです。したがって風がなく、船があまり流されない状況では、タイラバを少しキャストするという事を徹底した方がいいでしょう。
また、水中にはさまざまなものが浮いており、そのほとんどを魚は見ています。その中にあって、動くものはどんなに小さな物であっても、魚にとってかなり目立つものなのです。それがルアー船に乗って全員がタイラバを真下に沈め、上下運動のみで誘っていると、実はそれほど目立つ動きではなくなってしまっているのです。少しキャストしてナナメ引きする事によって、魚から見た動きはより目立つものとなり、ヒット率が向上します。着底後即巻き上げ、しかもコンマ何秒の世界。この瞬間こそ、タイラバフィッシングのもっとも濃い、そしてアングラーの集中力が試される時間なのだろう。また中層まで巻きあげた方が良い場合もあるとは驚きだ。タイラバをキャストするというのは、ショアからのタイ釣りでは当たり前であり、専用のタックルやタイラバも存在しているが、船からのタイ釣りであってもキャストを勧めるという意見にも驚かされた。原理原則や常識にこだわらず、あらゆる可能性を考えて創意工夫することが結果に繋がっているのだろう。ところで宮崎氏の提唱するタクティクスを実現するには、どんなタックルが有効なのだろうか。
細ラインのためにリールの性能が重要
宮崎:
ラインは細いほど良いでしょう。まず食いが全然違います。着底の瞬間を見極めて即巻き上げを開始するにしても、フォール中のアタリを取るにしても、細いラインほど糸ふけが少なく、より有利となります。細いラインを使うためには柔らかいロッドを使うこともさることながら、むしろリールのドラグ性能が大きく問われるでしょう。大型のマダイを細いラインで取るには、魚の走りに対して的確に対応するリールが必要となります。
またオフショアのタイラバであってもキャストをお勧めする関係上、キャスト性能のよいリールも重要です。細いPEラインで重たいタイラバをキャストする訳ですから、バックラッシュしにくいベイトリールがいいですね。バックラッシュして糸切れを起こし、タイラバをなくしてしまう方も多くおられます。つまりマダイ爆釣のためには、リールの性能が大変重要という事です。
良い道具とそれを使うノウハウ、タクティクスが重要であること。また原理原則論に陥らず、さまざまな創意工夫で数パーセントの向上を多く積み上げることで、爆超は約束されるのだということも教えられた。まだまだ全国で爆釣の嵐を吹かせそうである。
以上、引用でした。
釣りとは、自分で創意工夫していくことが大切であることを、改めて感じさせられます。既成概念にとらわれすぎてはいけないってことですね。